◆実現させるには

 もちろん金沢市でLRTを実現させるには、いくつもの課題があります。


マイカーからの転換と、パーク&ライドの整備

 LRTは、マイカー利用者ができるだけ多く乗り換えてこそ、導入する意義があります。
 そこで次のような工夫を併せて行うことが大事です。

 1.マイカーより速く、便利になるような仕組みをつくる
  専用軌道で電車優先信号とし、電停以外は交差点も止まらないようにします。
  また信用乗車方式を採用し、どのドアからも乗り降りを可能にし、停車時間を短くします。

 2.パーク&ライドの整備
  市街地に、数百大規模の無料駐車場を、数多く設置。
  いつでも安心して車を停められる、大規模駐車場の整備が必要です。
  また利用者サービスとして、
  ・LRT・バス運賃の割引
  ・ICカードにポイントをつける  などが考えられます。


 マイカーよりも、LRTやバスで行ったほうが便利でラク。
 そう思える仕組みをつくることが大切です。





バス路線網の再編成

 LRTはバスを排除するものではありません。
 バスと連携し、各結節点から郊外へ、人を送り届けるバス路線網を整備することで、
 金沢の新しい未来交通網が完成します。
 料金体系も、バス・LRT両方を一元化するのが理想的です。

 現在、中心地を通るバスは、1日およそ1800本。
 LRTへの転換で生じるこれらの余剰バスを、郊外路線の増便・新設に充てることで、
 LRTとの乗り継ぎ環境が整います。

 大掛かりで利害調整が難しいですが…
 上手く調整できれば、郊外のバス便も増え、今よりもっと便利な交通ネットワークが完成します。




各結節地点における、バス乗り場・タクシー乗り場の整備
運送業のステーション整備

 バスと同様に、タクシーも二次交通として必要です。
 各結節地点で、LRTからスムーズに乗換えできる、バス乗り場・タクシー乗り場の整備が必須です。
 できれば公園のような広い場所に、雨風の心配なく待つことができるスペースがあれば理想的ですね。
 ついでにカフェや休憩スペース、LRT撮影スポットなんかも…
 上手く整備できれば、『駅ナカ』のように、人が集まる名物スポットになるかもしれません。

 もちろん、運送業のステーションの整備も必要です。
 配達業者さんとそのお客さんが困らないように、工夫が必要です。






 そして避けられないデメリットは、乗り換えの発生です。
 これは、もうひとつの交通システム候補「BRT」(バス高速輸送システム)も同様です。

 LRT路線から離れた地域に行くには、どうしても乗り換えが生じます。
 今までバス1本で行けたものが、LRTからバスへ乗り換えなければいけない、
 そんなケースも考えられます。
 いかに乗り継ぎをスムーズにするか、工夫が必要です。


 最初は不便に思うかもしれません。
 マイカーからの転換も、どうしても時間がかかります。
 けれどLRTが実現できれば、マイカーがなくても安心して生活できるまちづくりが
 可能なのです。

 誰もが安心して暮らせる未来の実現のために。
 いま一度、皆さまが公共交通について考える契機となれば幸いです。