リレーコラム*2

移動習慣
長谷川 正樹


大都市では地下鉄も含めて鉄道路線やバス路線などが縦横に走っており、
これらの交通網と徒歩によって目的地に移動できる。

本来は出発点から目的地まで中継点無しのポイント・ツー・ポイントで移動できるのがもっとも理想的だろう。
そういう意味で徒歩は最も有効な移動手段で、車が入れない小路・田んぼ道でも階段でも自由に近道・回り道が
でき、日常運動としても健康的だ。意識して歩くようにすればフィットネスクラブの変り映えのしない風景の中で
時間を消費する必要もない。

そうは言っても日常的な徒歩移動範囲はせいぜい1kmだろうが、車に乗り慣れた人にとっては数百メートル
離れたところでも車を使う。これはもう癖・習慣と言っても良い。車移動のポイント・ツー・ポイントはどんどん
エスカレートし、各地点を結ぶ経路短縮道路もそれに合わせるように造られ続けている。しかも鉄道のように
利用者が見込めなくなれば廃道対象にもならず、造った分だけ維持され続ける。維持費は問題にさえならない。
車社会エゴイズムとでも言おうか。

定時性の基幹交通としての鉄路、それに接続するバスとのマッチング実現の最大のネックは、車移動で
染み付いた渋滞耐性と直行移動習慣をどうやって克服していくかだ。

ひとつ思うのは、魅力的で利便性の高い中継地点の創造とともに、整合性のあるダイヤ、共通乗車券・
運賃などを考慮した交通体系作りが必要だろう。









【バスが連なる金沢中心街】



2015.11.6 掲載